僕はボディビルダーです。筋肉を大きくするために、週5〜6日はウエイトトレーニングをしています。
そんな僕が最近、8kmも走る競技に出ています。
その名は『HYROX(ハイロックス)』。1km走って、重いソリを押して、また1km走って、今度は引いて……を繰り返す屋内フィットネスレースです。
正直に言うと、僕はランニングが得意ではありません。むしろ数年前、フルマラソンの練習で走り込み、筋肉量が落ちた経験があるので、長距離走には少し苦手意識があります…笑
筋肉は絶対に落としたくない。でも、自分の身体がどこまで動くのかは試してみたい。
今回は、そんな僕がなぜHYROXにハマったのか、実際に出場して分かったことを書いてみます。
そもそもHYROXって何をするの?
HYROXは、1kmのランニングと1種目のワークアウトを8回繰り返す競技です。合計のランニング距離は8km。間に次の8種目が入ります。
- スキーエルゴ 1,000m
- スレッドプッシュ 50m
- スレッドプル 50m
- バーピーブロードジャンプ 80m
- ローイング 1,000m
- ファーマーズキャリー 200m
- サンドバッグランジ 100m
- ウォールボール 100回
動作自体はシンプル。
走るのが得意な人、重いものを運ぶのが得意な人、仲間とリレーで挑みたい人など、それぞれの入口があります。「全部できる人しか出られない競技」ではないところが面白いんです。

筋肉を増やしたい僕が、走る競技に出た理由
36歳になり、これからも筋肉を成長させ続けるには、筋力だけでなく『基礎体力』も必要なのではないかと考えるようになりました。
大きな筋肉があっても、少し動いただけで息が上がる。階段で脚が重い。疲労が抜けず、トレーニングの質まで落ちる。それでは、長くボディビルを続けるための身体としては少し心細い。
そこでHYROXです。筋肉を減らすためではなく、筋肉を使いこなせる身体にするために挑戦してみようと思いました。
レース前もボディビルを軸にした週5〜6日の筋トレは継続。HYROXの練習は週1回ほどで、普段のデッドリフトではパワーグリップを使わず、握力も一緒に鍛えるようにしました。
一方、ランニングの練習はほとんどしませんでした。筋肉を落としたくない気持ちが、ランニングへの不安に勝った結果です。おすすめできる完璧な作戦かというと、たぶん違います(笑)。
千葉で分かった。「筋力は武器。でも走る力は別科目」
HYROX大阪では1時間30分で完走。続く千葉でも、シングルは偶然まったく同じ1時間30分でした。
千葉のシングルでは、スレッドプッシュが9位、サンドバッグランジが5位。翌日のリレーでは、担当したスレッドプッシュが1位、サンドバッグランジが10位でした。
重いソリを押す場面では、ボディビルで鍛えてきた脚がかなり頼もしい。ところがランニングコースに戻った瞬間、その筋肉は「ここからは各自でお願いします」と急に他人の顔をしてきます(笑)。
後半は脚に疲労がたまり、最後にはしっかり攣りました。それでも不思議なことに、レース中は基本的にずっと楽しい!
会場の音楽や声援、見ず知らずの選手同士で声を掛け合う雰囲気も、HYROXならではです。
実際の千葉大会の様子はInstagramにもまとめています。
2日後にボディビル大会へ。身体は意外とタフだった
千葉では8月6日にシングル、7日にリレー。そして9日には大阪ボディビル選手権に出場しました。
「HYROXの2日後にボディビル大会?」と、日程だけを見ると自分でも少しおかしいと思います。
ところが、減量末期にもかかわらず、HYROXの疲労による影響は想像より小さかったです。定期的に有酸素運動や全身運動を行ったことで、以前より身体のだるさが減り、むしろ動きやすくなった感覚もあります。

Fitness Loveにも取り上げてもらいました
最近、Fitness Loveの『HYROX WARRIORS』で、僕の挑戦を紹介していただきました。
自分で自分のことを書くのは少し照れますが、第三者に言葉にしてもらうと、「自分はこんなことを考えてHYROXに出ていたのか」と答え合わせをしているようで面白いものです。
「大きくて、強くて、動ける身体」――ボディビルダーまでも巻き込むHYROXの渦(Fitness Love)を読む
記事の中でも話していますが、僕が目指したいのは「大きくて、強くて、動ける身体」です。大きさか、体力か。どちらか一つを選ぶのではなく、両方をどこまで伸ばせるのか試してみたい。
筋トレと持久力トレーニングは両立できるのか
「走ったら筋肉が落ちるのでは?」という不安は、筋トレをしている人なら一度は感じると思います。僕もその一人です。
しかし、筋力トレーニングと有酸素トレーニングを同時期に行う「コンカレントトレーニング」の研究をまとめたメタ分析では、両方を組み合わせても、全体として筋肥大や最大筋力が大きく損なわれるとは限らないことが示されています。
ただし、同じセッションで両方を詰め込むと、瞬発力の伸びには影響が出る可能性があります。つまり、筋トレか有酸素かの二択ではなく、組み合わせ方の問題です。
僕自身が大切だと感じているのは、次の3つです。
- 筋トレの軸を崩さない:扱う重量やトレーニングの質を記録する
- 最初から全部を完璧にしない:週1回のHYROX練習からでも身体は変わる
- 疲労を分散する:可能なら筋トレとランニングの実施日や時間帯を分ける
走れるようになるために、いきなり毎日走る必要はありません。まずは筋トレの最後に10分だけ走る、ファーマーズキャリーを入れる、たまに階段を使う。そのくらいでも「動ける身体」への入口になります。
HYROXは五輪種目になるのか?
HYROXの勢いは、僕の周りだけの話ではありません。2026年9月9日のロイター報道によると、2025〜26年シーズンには世界100以上の大会で約140万人が参加し、約150万人の観客を集めたといいます。
運営側は2032年または2036年のオリンピック入りも視野に入れています。もちろん正式採用が決まったわけではありませんが、「ジムでやるキツい運動会」と呼ぶには、ずいぶん大きな存在になりました。
僕の次の目標は、今より筋肉を増やしながら速くなりたい。かなり欲張りな目標ですが、その矛盾をどう両立させるかが面白いと思っています。
大きく、強く、動ける。
参考:HYROX公式サイト/Reuters(2026年9月9日)/Concurrent trainingに関するメタ分析(PubMed)

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